エッセンシャルオイルはどうやって作られる?抽出方法と、自宅で作れるかの答え

Pointこの記事でわかること
- 水蒸気蒸留法、圧搾法など5つの抽出方法の仕組みと、それぞれに向く植物
- 収穫から蒸留までの流れと、オイル1本に必要な植物の量
- 自宅で作れるかの答えと、試す前に知っておきたいこと
「精油の作り方」や「エッセンシャルオイルの抽出方法」を調べると、水蒸気蒸留や圧搾という言葉が出てきます。小さなボトルに入った数mLは、畑や森の植物からどうやって取り出されているのでしょうか。
この記事では、主な抽出方法の仕組みと、植物がオイルになるまでの流れをまとめ、「自宅で簡単に作れるの?」という疑問に、公的機関の試験の数字をもとに答えます。
エッセンシャルオイルの抽出方法は5つ
日本アロマ環境協会は、精油の抽出方法として5つを説明しています。
| 方法 | 仕組み | 向いている植物・特徴 |
|---|---|---|
| 水蒸気蒸留法 | 植物に蒸気を当て、冷やして水とオイルに分ける | ラベンダー、ペパーミントなど、花や葉、根からとる多くの植物 |
| 圧搾法 | 果皮をローラーで搾り、遠心分離で水分を取り除く | レモン、オレンジなどの柑橘 |
| 揮発性有機溶剤抽出法 | 有機溶剤で香り成分を溶かし出し、エタノールで分ける | ローズ、ジャスミンなど繊細な花 |
| 油脂吸着法 | 油脂に香りを吸着させ、エタノールで取り出す | 花。伝統的な方法で、今はあまり行われない |
| 超臨界流体抽出法 | 二酸化炭素に熱と圧力をかけ、香り成分を取り込む | 低温で処理でき、植物に近い香り。高価な装置が要る |
水蒸気蒸留法は、釜に入れた植物に蒸気を当て、香り成分を含んだ蒸気を冷やして、水とオイルの2層に分ける方法です。残った水にも香りが少し残り、芳香蒸留水として化粧水などに使われます。熱で香りや成分が損なわれることがあり、向かない植物もあります。
圧搾法はコールドプレスとも呼ばれます。加熱しないので成分の変化が少なく、自然な香りと色が得られます。一方で搾りかすが混ざりやすく、変化しやすい成分を含むため、ほかの方法より劣化しやすいとされています。柑橘を早めに使い切りたい理由です。
植物からオイルになるまで
ドテラが公開している産地の例を2つ見てみましょう。
ラベンダーは、ブルガリアのドブリチにある蒸留所エセテラに、周辺75軒の農家から花が運ばれます。収穫は7月。夏の暑さで花の色が抜け始めたころに、よいオイルが多く取れるためです。収穫から1日以内に蒸留する必要があり、1年分の蒸留は毎年3〜4週間で終わります。
ペパーミントは地面の近くで刈り取り、数日乾燥させてから細かく刻み、畑の近くにある蒸留装置で蒸留します。
取れる量はわずかです。資料にある数字を並べてみます。いずれも産地や条件で変わります。
| 植物 | オイルの量 | 必要な植物の量 |
|---|---|---|
| ラベンダー | 1kg | 花穂100〜200kg(協会) |
| ローズ | 1kg | 花3〜5トン(協会) |
| レモン | 15mL | 皮約3.2kg(ドテラ) |
| ペパーミント | 15mL | 葉約450g(ドテラ) |
| ヒノキ | 約120mL | 枝葉約30kgを約3時間蒸留(長野県) |
自宅で簡単に作れる?
家庭用の蒸留器や圧力鍋で植物を蒸留すれば、香りのついた液体を少し取ることはできます。ただし、精油として使える量にはなりません。
長野県林業総合センターは、ドラム缶を使った精油採取装置を紹介し、小規模なら圧力鍋でもよいとしています。それでも、粉砕したヒノキの枝葉約30kgから取れたのは約120mLです。
北海道旭川農業高等学校の研究(北海道森林管理局の発表会資料)では、圧力鍋を改良した装置にトドマツの葉300gと水1Lを入れ、沸騰してから30分蒸留しました。取れた液体は600mLでしたが、精油はごく少量しか抽出できず、ほとんどは精油の香りがする水だったと報告されています。家庭の量で手に入るのは、主に芳香蒸留水だと考えておきましょう。
- 1植物の量葉300gでも精油はごくわずか。数滴のために、かごいっぱいの植物が要ります。
- 2器具の扱い蒸留中は容器に蒸気圧がかかります。蓋の密閉性と冷やす仕組みが要り、火と熱湯を長く扱います。
- 3品質はわからない自作したものの成分や濃度は、家庭では調べられません。市販のオイルと同じとは考えません。
- 4浸出油は精油ではない植物を植物油に漬けて香りを移したものは、香りのついた植物油です。精油は油脂ではないので、別物です。
精油の定義はエッセンシャルオイルとは?で解説しています。
自分で試すときの注意点
使うときの注意点
- 蒸留は高温の蒸気と火を扱います。やけどに気をつけ、火のそばから離れないでください。精油は火気のそばに置かないようにしましょう。
- 蒸留中は容器に蒸気圧がかかります。器具の説明書に従い、密閉した容器を火にかけている間は目を離さないでください。
- 圧力鍋を改造したり、蒸気の逃げ道をふさいだりしないでください。この記事の圧力鍋の例は、公的機関や学校の取り組みの紹介で、家庭でのおすすめではありません。
- 自作したものの品質や成分は保証されません。肌につけたり、飲んだり、料理に使ったりしないでください。協会は精油の飲用をすすめていません。肌に使う話は、「化粧品」の表示がある製品に限ります。
- 自作したものは、販売や譲渡をしないでください。自分で楽しむ範囲にとどめます。
- 作ったものは名前と日付を書いて、子どもやペットの手の届かない場所に置きましょう。
自宅で作るのは思ったより大変ですが、仕組みを知っておくと、手元のボトルの見え方が変わります。今日はまず、ラベルの抽出方法を確かめることから始めてみてください。ラベルの見方も参考になります。
Next step
もっと詳しく知りたい方へ
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参考資料・出典
11件
- 精油はどのようにして作られる?主な抽出方法や具体的な活用法について紹介公益社団法人 日本アロマ環境協会 sense of AROMA(2026年9月17日)
水蒸気蒸留法、圧搾法、揮発性有機溶剤抽出法、油脂吸着法、超臨界流体抽出法の仕組みと向く植物、芳香蒸留水、熱で成分が損なわれることがあること、圧搾法の精油が劣化しやすいこと、超臨界流体抽出法が低温で処理でき高価な装置が要ること
- 精油とは公益社団法人 日本アロマ環境協会
花や葉、果皮、根などを蒸留する方法と柑橘の皮を搾る方法、精油1kgに必要なラベンダーとローズの量
- 精油とアロマオイルの違いは?選び方や楽しみ方も解説公益社団法人 日本アロマ環境協会 sense of AROMA(2025年3月27日)
精油が油脂ではないこと
- 全国に広がる和精油の生産公益社団法人 日本アロマ環境協会
全国の和精油の生産者と、蒸留の見学や体験ができる場所の紹介
- 安全に楽しむために公益社団法人 日本アロマ環境協会
火気を扱う場所での注意、原液を肌につけないこと、飲用をすすめていないこと、子どもやペットの手の届かない場所への保管
- アロマテラピーに関するQ&A公益社団法人 日本アロマ環境協会
手作り品を製造販売する場合は関係機関への確認を求めていること(協会は法律を判断する機関ではないとしている)
- ラベンダーSource To You(doTERRA International)
ブルガリアのドブリチにある蒸留所エセテラ、75軒の農家、7月の収穫とその理由、収穫から1日以内の蒸留、1年分を3〜4週間で蒸留すること
- ペパーミントSource To You(doTERRA International)
地面近くで刈り取り、数日乾燥させ、細かく刻んでから畑の近くの蒸留装置で蒸留すること、約450gの葉から15mLができること
- レモン(インフォグラフィック)doTERRA CPTG Essential Oils Japan合同会社(2021年6月1日版)
レモンのオイル15mLを作るのに約7ポンド(約3.2kg)の皮が必要なこと、コールドプレスの表示
- ドラム缶を活用した精油採取装置について(ミニ技術情報 No.51)長野県林業総合センター(平成30年10月)
粉砕した材料と水を加熱し、精油を含んだ蒸気を冷却管で液化して採取する流れ、約30kgのヒノキの枝葉から約3時間の蒸留で120mLの精油が取れたこと、蒸留時は容器に蒸気圧がかかり密閉性が必要なこと、冷却装置、小規模なら圧力鍋でもよいこと
- 森の魅力を伝えたい〜トドマツの薫りに関する研究〜(令和7年度 北の国・森林づくり技術交流発表会 ポスター発表 P26、北海道旭川農業高等学校)林野庁 北海道森林管理局
圧力鍋を改良した装置でトドマツの葉300gと水1Lを沸騰後30分蒸留し、600mLの液体が取れたが精油はごく少量で、ほとんどが精油の香りがする水だったこと
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